1/29【エッセイ】旅とは多様性のフィールドワーク

あなたのものがたり7

ねーちゃん!あしたっていまさッ!

ポコ/ジョジョの奇妙な冒険

ナイトウさんとタナカさんとあなた

 ミュータントの出現で盛り上がった、シアトルホームステイの仲間たちと語り合った帰り道、ナイトウさんは自転車を押し、自宅のある希望が丘団地へ坂道を上っていた。

 (イナゴ?)

 かすかな羽音を立てて、イナゴに似た昆虫が目の前を通り過ぎた。

 よく見ると、その昆虫は…昆虫に見えない…

 !!!?

 イナゴのようなナニカは、塀の上からナイトウさんを見下ろす、トラ猫の頭に飛び乗った。
 
 そのナニカは、金の王冠、人の顔と女性のような長い髪、獅子のような牙、蠍の尾のような長い針がついていた。

 

「にゃんこちゃん逃げて!」

 そのナニカの異様な形状に、直感的な恐怖心から猫に大声で話しかけた。

 話しかけるや否や、猫は塀からナイトウさんに向かって飛び降り、頭を振りながら近づいてきた。

 いきなり大音量の羽音が正面から鳴り響く。

 ナニカは一匹ではなかった。

 気球を一回り小さくしたくらいの、ナニカの大群が猫を取り巻いた。哀れな猫は、一瞬、ギャー!!と叫んだ後に、骨も残さず食いつくされた。

 ナイトウさんは声を上げることもできなかった。恐怖に震え上がり、回れ右をして自転車に飛び乗り、坂道を全速力で降りて行った。

 後ろから羽音が聞こえる。

 時々止まっては、何かの叫び声のような音が聞こえ、またこちらに近づいてくる。

 息切れがしている自分に気づかないまま、ナイトウさんは団地から下った林の中の砂利道に迷い込んでいた。

 10年以上前に引っ越してから、長らく暮らした街だが、知らない景色が通り過ぎていく。

 (あれ?)

 羽音に交じって、声が聞こえる。

 上のほうからだ。

 

「こっちだよ」

 上を見ると、ハトが飛んでいる。

 なぜかナイトウさんは、それがハトの声だとわかっていた。

 当然の事実として、その声がハトの声だと理解していた。そして、自分の名前は”ソロモン”だと知っていた。

 冠をかぶり、精巧な彫刻の施された指輪をした王のような男性が、自転車をこぎ、林の中、砂利道を走っていた。

 ナイトウさんは、旧約聖書に記された、万物の声を聴く王”ソロモン”にミューテーションしていた。

『覚悟』とは!! 暗闇の荒野に!! 進むべき道を切り開く事だッ!

ジョルノ・ジョバァーナ/ジョジョの奇妙な冒険

(ハトが食べられちゃった…)

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この記事を書いた人

みくりやてつきのアバター みくりやてつき 所長(仮)

在住国:日本 現在地:愛知県 主に発達障がいの方を対象とした、IT特化の、就労移行支援事業所、サービス管理責任者。 精神保健福祉士 TOEIC840 日本語教師 作家

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