6/17【エッセイ】ASDと鳥レバー煮の気づき

ギフテッドの苦悩?

目次

「孤独を感じませんか?周りと話が合わなくて。」

 とある利用者さんに、そう質問したことがあります。彼は、天才的なコーディングの才能をお持ちで、初めて受験したTOEICのテストで800点台を記録した、規格外の規格外の能力者です。

 いわゆる「ギフテッド」だと思っています。

 そんな彼は、読書家です。精神分析入門や、イタリアの精神科病棟を
廃止したバザーリアについての伝記など、専門家である僕も教えられることがある、とても物知りな一面もお持ちです。

 その豊富な知識、複雑でいて鮮やかな論理展開。独創的な発想。これは情人では話を理解するのが難しいと思って、目を丸くして傾聴させていただいています。

 彼もまた、僕に取っては先生です。

オレはこの
SBR(スティール・ボール・ラン)
レースで
いつも近道を試みたが

『一番の近道は遠回りだった』

『遠回りこそが
俺の最短の道だった』

この大陸を渡ってくる間
ずっとそうだった

そしておまえがいたから
その道を渡って来れた

ジャイロ・ツェペリ/ジョジョの奇妙な冒険

 僕にとって人生のバイブル、「ジョジョの奇妙な冒険」から、主人公”ジョニィ・ジョースターをみちびいた先生、ジャイロ・ツェペリ。彼の最後のレッスン。その本質は「遠回りこそ近道」でした。

 そんな彼は、先日、僕たちの施設を卒業されました。

 最後に、彼=先生に、レッスンを受けました。

「孤独を感じませんか?周りと話が合わなくて。」

 僕は、孤独感の強い人間です。視点が独特で、難しい言葉を使う傾向がある。複雑な論理を展開したいし、それは鮮やかでありたい。

 1年2か月、あこがれ続けた僕の先生に、最後のレッスンとして、質問しました。

 「本を読んでいると、対話をしている気がするんですよ」

 …なるほど!

 確かに、本は素晴らしい。

 ”京極夏彦”の『絡新婦の理』で、女を知り、
 ”スティーヴン・キング”の『ショーシャンクの空に』で希望を学び、
 ”横溝正史”の『八墓村』で、底知れない人間の悪意に気づき、
 ”ジョジョの奇妙な冒険”で、覚悟と納得に気づきました。

「あなたが、蜘蛛だったんですね。」

絡新婦の理/京極夏彦

 

先生、いつか、教えてください。


 今、あなたは、何を見ていますか?
 どこで、何をしていますか?
 とても興味があります。

 

あなたが、納得できますように…

あなたのものがたり/みくりや てつき

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

みくりやてつきのアバター みくりやてつき 所長(仮)

在住国:日本 現在地:愛知県 主に発達障がいの方を対象とした、IT特化の、就労移行支援事業所、サービス管理責任者。 精神保健福祉士 TOEIC840 日本語教師 作家

目次